お久しぶりです。新製品関係の記事を除くと今年の初投稿!(大汗 年度末は忙しい~は仕方が無いにしても、とうとう4月になってしまいました。 この間模型製作では目立った進捗は無く、工作ネタが無いという状況は如何ともし難い。。 何から書いて良いのか戸惑うばかりですが、今日は最近購入したものの中からお勧めしたいものをネタにつらつら書いてみたいと思います。
お察しのように画像に写る4点がネタにしたいナイスなモノ達ですが、その中から今回はネコパブリッシングから刊行されている「3Dプリンタガイド」を取り上げてみます。 模型製作に於いてアナログ技術の重要性は当然ながら、これらデジタル手法も取り込んでおきたいと常々思っておりました。 そこで問題となるのがデータを作る事。2Dにしろ3Dにしろこれが出来なければお話にならず、独学ではそこが一番のハードルになる事もまた事実でしょう。 かつてAdobeイラストレーターを習得した時に感じた「最初の一歩さえ押してもらえれば後は何とかなる」=この手のソフトはちょっとでも書けるようになるとその後楽しくなってどんどん習得出来るようになる… その最初の一押しを扱ったコンテンツを探していたところでした。
話題の3Dプリンタとあり昨今それを取り上げる書籍は様々刊行されています。 目に付いたものは大体チェックするようにしていますが、残念ながらその多くはキャラクターモノやフィギュア等へ応用するものが多く、データの作り方もグラフィック系ソフトやその手法に準じるものが殆どでスケール模型に使い易いCADをベースにした書籍は余り見ない印象でした。あってもデータが書ける事を前提とした所謂"出来る人目線"のものや、もっと高度な工業技術者向けの専門書だったり、取り上げているソフトが数十万円から100万円単位のプロ用のもの、、これではホビーユースで一や二から始めるような初心者には些か不釣合いです。
そんな中目に留まったのが、この「3Dプリンタガイド」。鉄道模型等のスケール模型向けに活用する事を前提としたもの~尚且つデータ製作の"実際"についても触れられている数少ない書籍ではないかと思います。
中身は3Dプリンタの紹介から始まって実際の作品まで色々なコーナーがあります。その中でもページ数を割いているのがデータ製作についてで、架空のオリジナル車輌を板キット状態にするべくまっさらな状態から書き上げて行くコーナーとなっています。正にこれこそが私にとって一番興味のあるポイントでした。
初歩的な画面の使い方(平面ビューとホームビューの使い分け)から、こうする場面はこんなツールを使うと言った情報、注意深く読み進めればこんなツールでこんな応用方法が!などなど、データ製作部分だけでも188コマも使って解説してあります。
解説に使用しているソフトは以前
2014/05/11の記事でも紹介した「Design Spark Mechanical」で、アカウント登録は必要なもののフリーソフトというのは初心者にとって有難いです。 まぁプロに言わせれば色々と難儀な部分もあるかも知れませんが、製作された成果物を見れば特にホビー用途では十分ではないかと感じますし、将来趣味仲間内でデータをやり取りする場面でもフリーソフトであれば何かと便利です。 ちなみに約一年前に紹介しておいて、実際に触ったのは正直なところこれまで合計1・2時間ほど。開いてもどうすれば良いのかよく判らず……結局持て余して後回しとありがちな話です(汗
で、本を片手に実際に書いてみました。 弄り始めて直ぐは試行錯誤の躓きがありましたが、徐々に使うツールや画面・ビューの意味が判って来て…数時間後にはこんな風に形だけかも知れませんが書けるようになりました。 最初に書いた青い物体は作業を始めて大体4時間ほど。2個目の緑の物体はさらに5時間後くらいでしょうか。つまんなかったソフトが途端に楽しいソフトへ変貌を遂げました^^
使ったコマンドは、平面ビュー/ホームビューの切り替え・スナップビュー(表示面の切り替え)・ズーム(拡大縮小)・パン(画面の位置調整)・スケッチツール(各種描画ツール)・プルツール(選択した面を引っ張って立体にする)・ctrl+Z(戻る)・ctrl+Y(進む)・プルツールの中にあるフィレットと面取り・移動ツール~この程度です。
「最初の一歩を(やさしく)押してもらえれば…」
決して大袈裟ではなく一歩目二歩目を押されたのは本当に大きい。 そこを足掛かりに、もっと効率よく書く方法やツールの応用・複雑な曲面が絡んだものはなどは追々習得すれば良い訳です。
勿論この本の情報にはまだその用途には使えないな…とか、よく見ると積層の段差処理に苦労されている部分など、現在の3Dプリンタの限界も見え隠れします。 昨今「夢の機械」とまで謳われ、世間一般にはデータさえ作れば手放しで何でも作れると思われがちな空気もあるようですが、実際はそうではなく、3Dプリンタのシステムを理解し適切な出力方向や場合によっては分割するなど現状では作り手の工夫が肝要であると私は読みました。特に1/150という小スケールでは。 逆に言えば、そこさえ熟慮すれば現状でも一定の成果はあり、何よりこの本の多くの項で筆を取られている富士川車輌工業のS氏の活動を見れば現状でも十分使える手法である事は実証されています。
Carbon3D Unveils Breakthrough CLIP 3D Printing Technology射出成形なみのハイクオリティな仕上がりを高速3DプリントCarbon3D上記のように一工夫が必要と感じた3Dプリンタではありますが、今年に入ってClip Technologyと称する新しい手法を用いたプリンタシステムが発表されました。 速度は最大で100倍、積層面も殆ど出ないという代物だそう。 現状1/150のスケールモデルで実用に耐えるレベルを期待するならほぼ出力代行会社への依頼が前提となり、その費用の多くは機械の占有時間=プリント時間が占めていると言って過言ではないそうです。 それが大幅に圧縮され、尚且つ積層面も殆ど気にしなくて良いとなれば、先に書いた「工夫」も大幅に簡略化する事が可能となります。
もう一転び二転び……
こうなって来ると、「夢の機械」の実現もあながち夢ではないのかも知れません。 そんな将来を見越してデータを作れるように備えておきたい方~尚且つデータを作った事が無い方にはこの本はきっと得るものがあると思います。 勿論PC関係の事々には向き不向きがありますので、この本を買えば誰でも直ぐにデータを書けるようになるとは書きませんが、そうした方向にアンテナを立てている方には、ちょっとしたきっかけになる事うけあいです。
あ、、アンテナを立てている方ならもう購入済みかな??兎にも角にも先ずは執筆者の皆様に謝意を伝えたい。。
ネコパブリッシング刊:3Dプリンタガイド 1,500円+税=1,620円 check it!
Design Spark Mechanical※書籍の見開き画像の掲載については出版社/担当者様より事前に了解を得ています。